第6章 直人の素顔
2時間後。
鏡に映る自分は別人の様だった。
「うん、可愛い可愛い!似合ってるよ、明智さん。」
「ありがとうございます。」
七瀬の元に行くと、カタログを見ていた七瀬が顔を上げた。
「おー!似合ってるよ、シュリ!」
「ありがとう。なんかちょっと照れくさいけど…。」
「何言ってんの!可愛い可愛い!」
お会計をして、相川さんにお礼を言って美容室を出た。
「ねぇ、ホントに変じゃないかな?」
「大丈夫、可愛いよ。自信持ちなって!」
私達はその足でカフェに入った。
七瀬はアイスコーヒー、私はアイスティーを注文した。
今日は天気が良いので、テラス席に座った。
「で、その直人さんって人はどんな人なの?」
恋愛の話になり、七瀬は興味津々だった。
「えっとね、笑顔が凄く素敵で、背が高くて、優しくて明るくてよく食べる人かな。」
「おー、これはまた徹とは正反対なタイプだねー。」
「そうなの!例えるなら徹は猫で直人は犬って感じ!」
「その例え凄いわかりやすいわー。」
七瀬はアイスコーヒーを飲みながら微笑む。
「七瀬は彼氏とかいないの?」
これだけ美人でスタイルも良いのだ。
きっとモテるに違いない。
七瀬は少し照れくさそうに笑った。
「いるよ。高1から付き合ってる彼氏が。」
「え、凄い!付き合って長いんだね!どんな人なの?」
「最初はただの幼馴染みだったんだけどさ。今は別の大学に通ってるんだ。バレーボールやってるから背が高くて顔は可愛い系かな。」
「へぇー。」
彼氏の話をする七瀬は、いつもの凛々しい顔付きから可愛らしい顔付きに変わった。
その彼の事が凄く好きなんだと伝わってくる。
「まぁ、あたしの話は置いといて。直人さんとはデートしたの?」
「デート!?してないしてない!あ、でも、たまにうちにご飯食べに来るよ。入学式の前の日もお祝いにケーキ買って来てくれたの。」
「それって結構脈ありじゃない?」
「そうなのかな?でも徹もそうだけど直人も不摂生な生活してるからさ、ついご飯作ってあげたくなっちゃって。」
「餌付け作戦か!」
「そんなんじゃないよー!」
恋愛の話や大学の話をしている内に、時刻は午後3時を回っていた。