第4章 大学入学
チャイムを鳴らすが、徹は出てこない。
出かけてるのかな…。
もう一度チャイムを鳴らすと、上半身裸の徹が出てきた。
「シュリか。なんだよ?」
「あ、えっと…今日塩の唐揚げ作ったから、徹にもお裾分けしようと思って持ってきたんだけど…。」
「あー…。」
徹は頭をガシガシと掻きながら溜め息をついた。
すると、部屋の中から下着姿の女の子が顔を出した。
今日、昼休みに徹に言い寄ってきた三人組の一人だった。
「徹ー?誰ー?」
「お前、部屋で待ってろ。」
徹が女の子を手で追い払うと、女の子は素直に部屋の中へ戻って行った。
色恋に疎い私でも流石に状況を察した。
「あの、その…邪魔してごめんね!私帰るね!」
「何で来たの?」
「だから、唐揚げ作ったから…。」
「それだけ?」
「…今日、お昼休みからずっと徹に避けられてる気がしたから…何で避けられてるか考えても解らないし、だから徹が前に塩の唐揚げ好きって言ってたの思い出して、それで…。」
「わざわざ作って持ってきたの?」
「…うん。」
徹は再び溜め息をつくと、私を睨み付けた。
「お前のそういう所、すげー苛つく。」
「え?」
「一々俺に干渉するな。うぜーんだよ。彼女でもなんでもないくせに。」
徹は心底迷惑そうにそう言った。
凄く、ショックだった。
そして、今まで自分がしてきた事、今している事も徹からしたらただのお節介で迷惑だったのだと思うと、急に恥ずかしくなった。
「ご、ごめんねっ…もう余計なことしないから…。じゃあね。」
私は逃げる様に自分の部屋に戻った。
玄関のドアを閉め、そのまましゃがみこんだ。
初めて徹に拒絶された。
それが何故か凄く辛くて、悲しくて、私は声を押し殺して泣いた。