第4章 大学入学
髪を染めたら、直人はなんて言ってくれるだろう。
褒めてくれるかな。
そう言えば大学に入ってから直人に会っていない。
彼は相変わらず仕事をしているのだろうが、私の方が忙しくて家を空ける時間も多くなった為、最近はアパートの廊下ですれ違うこともない。
明日、髪を染めたら直人の部屋を訪ねてみよう。
「シュリ、なにニヤニヤしてるの?」
七瀬の言葉で我に返った。
「ううん、なんでもない!」
「どうせ池田のことでも考えてたんだろ。」
あっさりと徹に言い当てられ、顔が熱くなった。
「池田って誰?」
七瀬が首を傾げた。
「池田直人さんっていうんだけど、私達と同じアパートに住んでるの。アパートには、徹と直人と私しか住んでないんだけどね。」
「ふーん…。」
「…俺、先行くわ。」
突然徹が立ち上がった。
昼休みが終わるまでまだ少し時間がある。
「徹?どうしたの?」
徹は私の言葉を無視して、不機嫌なオーラを放ちながら食堂から出て行った。
「なんなのいきなり…。」
「シュリ、解らないの?」
「何が?」
「いや…なんでもない。」
七瀬の言葉に疑問を抱きつつ、残りのお弁当を食べた。