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薔薇と向日葵

第4章 大学入学


大学に着くと、沢山の人で溢れていた。

その中でも徹の整った顔立ちとスタイルの良さは一際目立ち、周りの女の子達の注目を浴びている。

「あの人カッコいいー。」

「超イケメン。モデルとかやってるのかな?」

「隣の女の子彼女かな?」

小声で話しているつもりなのだろうが、丸聞こえだ。
しかも私まで目を付けられている。

このまま徹と一緒にいたら目立つだけだ。
勘違いから他の女の子に敵視されても嫌だし…。

私はなるべく目立たず、ひっそりと平穏な学生生活を送りたいのだ。

「じゃあ徹、私はここで…。」

「何で?行く場所一緒じゃん。」

漸く完全に目が覚めた徹に腕を掴まれた。

私は小声で徹に言った。

「徹が悪い訳じゃないけど、徹と一緒にいると目立つからイヤなの。」

徹は漸く自分が注目されている事に気が付いた。
彼にとっては日常茶飯事なのだろう。

「気にすんなよ。どうせ最初だけだろ。」

「その最初が肝心なのー…!」

焦る私を見て、徹は不適な笑みを浮かべた。

こいつまた、絶対にろくでもない事考えてる…。

「行こうぜシュリ!」

徹はわざと大きな声でそう言うと、私の手を握った。

女の子達の視線が痛い…。

「離してよ、周りに勘違いされるじゃない。」

「いいじゃん。付き合ってる体で行けば。」

「意味分かんないし、あんたは良いかもしれないけど私は敵が増えるのー…!!」

徹は面白半分でやっているのだろうが、私にとっては大迷惑だ。

そんな私の気持ちなんてお構いなしに、徹は手を握ったまま入学式の会場である体育館に向かった。

「やっぱり彼女じゃん。」

「そこそこ可愛いけど、あのイケメンとは釣り合わないっしょ。」

女の子達の陰口がエスカレートしていく。

嗚呼、私の平穏な学生生活に早速波乱の予感が…。

徹、後で絶対に殴る。
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