第22章 約束の日
翌日、私は七瀬に電話をかけた。
妊娠したことを話そうと思ったのだ。
しかし、電話は繋がらなかった。
「この電話番号は、現在使用されていません。」
そう、流れた。
「え…なんで?」
パソコンをいじっている徹にそれを伝えた。
「マジかよ…あいつなんかあったのか?」
「分かんない…あ、そうだ!紫音先輩に電話してみる!」
藁にもすがる思いで紫音先輩に電話をかけた。
「…はい。」
電話が繋がったことに一安心したが、紫音先輩の声は暗かった。
「紫音先輩、シュリです。あの…七瀬に電話かけたらこの番号は使用されてないって流れて…。」
「ああ…うん。七瀬、番号変えたから。」
「何かあったんですか?」
「シュリ、俺達、海外に行くから。」
「え…?」
紫音先輩は全てを話してくれた。
紫音先輩と七瀬の結婚を、七瀬の両親が猛反対した。
七瀬の両親は七瀬を良い家柄の人と無理矢理結婚させようとし、紫音先輩が七瀬を連れ去った。
今は国内に身を潜めているが、いつ見付かるか分からないため、二人で話し合って海外に行くことにした…と。