第22章 約束の日
電話越しだが、七瀬の様子がおかしいことに気付いた。
「どうしたの?」
そう聞くと、七瀬は暗い声でこう言った。
「シュリ、あたし、紫音と生きていくね。」
二人が付き合っていることも、結婚を考えていることも知っていた。
「うん、結婚するんでしょ?」
「うん…でもね…。」
そこで七瀬は黙ってしまった。
「七瀬?」
「シュリ、あたし、シュリと友達になれて本当に良かったよ。」
「え?うん…。」
「徹と幸せになってね?バイバイ、シュリ。」
そこで電話は一方的に切られてしまった。
「どうした?」
徹にそう聞かれたが、私もよく分からない。
七瀬は何を伝えたかったのだろう。
「七瀬、なんか様子がおかしかった。」
「別所とケンカでもしたんじゃねーの?」
「んー…そういう訳じゃなさそうだったけど…。」
まぁ、また何かあれば連絡してくるだろう。
この時は、その程度にしか捉えなかった。