第21章 すれ違う心
そんなある日、七瀬からメールが来た。
"久しぶり。夏休みに入ったから紫音と二人でそっちに行こうと思うんだけど、いつなら行ってもいいかな?"
今は、七瀬と紫音先輩の前で上手く笑えない気がした。
それに二人は、徹が事故にあったことを知らない。
でも、二人に会ったら少し気が紛れるかもしれない。
"久しぶり。いつでも大丈夫だよ。"
そう返信すると、すぐに返事が返ってきた。
"じゃあ明後日行くね!"
「待ってるね、と…。」
七瀬にメールを返し、スマホを机の上に置いた。
2日後、七瀬と紫音先輩が会いに来てくれた。
「シュリ、久しぶりー!」
七瀬は私を見るなり抱きしめた。
紫音先輩は相変わらず穏やかな笑みを浮かべて私達を見ている。
「七瀬、久しぶり。紫音先輩もお久しぶりです。」
「体調はどう?」
紫音先輩の言葉に笑って頷いた。
「今は大丈夫です。」
「そういえば、徹は?今日行くこと一昨日メールしたんだけど返事来なくて。」
徹の話題が出た瞬間、枯れたはずの涙が溢れた。
「ちょ、ちょっとシュリ?どうしたの?」
「徹…事故にあったの…もう3週間経つのに、目覚まさなくて…っ。」
二人の顔を見て安心したのか、私は子どものように声を上げて泣いた。