第21章 すれ違う心
こんなはずではなかった。
まさかシュリが、あんなことを言うなんて…。
俺は、この先何があってもシュリ以外の女を愛する気はない。
例え、シュリが死んでしまったとしても…。
そんな事を考えながら歩いていると、突然、車のクラクションが鳴り響いた。
音のした方を見たのと、体が宙に浮いたのはほぼ同時だった。
全てがスローモーションに感じた。
そして、シュリの顔が頭に浮かんだ。
次の瞬間、俺は地面に叩き付けられ、意識が遠退いていった―――
翌日、母が面会に来た。
母の顔色は悪かった。
「おはよう、お母さん。顔色悪いけど大丈夫?」
母は私を抱きしめた。
「…シュリ、落ち着いて聞きなさい。」
母の声は震えていた。
「なに?どうしたの?」
「徹君が、事故にあったの。」
母の言葉を理解するまでに、数秒の時間がかかった。