第2章 出会いの春
煮物を煮ている間に味噌汁を作り、実家の母が持たせてくれた漬け物を切る。
ご飯は今朝炊いたのがある。
唐揚げは…作らない。
徹が食べたいと言ったから作ろうと思っただけで、元々作る予定ではなかったから。
完成した料理をテーブルに並べた。
それを見て、池田さんは目を輝かせた。
「うわー!ちゃんとしたご飯だ!」
「いっぱい食べて下さいね。」
そう言って、麦茶を注いだコップを池田さんの前に置く。
「ねぇ、食べていい?」
「どうぞ。お口に合えばいいですけど…。」
「絶対美味しいって!いただきます。」
池田さんは丁寧に両手を合わせてそう言って、まずは煮物を一口食べた。
「うまっ!すげーうまいよ!」
「良かった。」
池田さんがあまりにも無邪気で、見ていて微笑ましかった。
私もいただきます、と言って食事を始めた。
煮物は…うん、まぁまぁの出来かな。
池田さんはあっという間にご飯を食べきってしまった。
「池田さん、ご飯おかわりしますか?」
「え、いいの?」
「はい。もちろん。」
「それじゃあ…頂きます。」
池田さんから空になった茶碗を受け取り、少し多めにご飯を盛って渡した。
「ありがとう。」
「いえいえ。いっぱい食べてもらえると嬉しいです。」
その後池田さんは味噌汁もおかわりをして、私達は食事を終えた。