第21章 すれ違う心
徹は病室に入った瞬間、私を抱きしめた。
「…良かった、無事で…。」
徹が小さく呟いた。
「心配かけてごめんね。」
徹はイスに座った。
服装からして仕事帰りのようだ。
「今日は仕事早く終わったの?」
「早く上がらせてもらえるように頼んだ。」
「そっか…。」
私は今日、徹に話したいことがあった。
しかしその前に、徹が口を開いた。
「シュリ、目瞑れ。」
「なに?」
「いいから。」
言われるがままに目を瞑った。
徹が私の手を取る感触がした。
「目、開けていいよ。」
目を開けると、左手の薬指に指輪がはめられていた。
眩しいくらい輝く綺麗な指輪。
「シュリ、誕生日おめでとう。」
徹が優しい口調でそう言った。
嬉しさと、これから徹に話す内容を思うと涙が溢れた。