第21章 すれ違う心
「何がいいかなぁ?」
首を傾げる涼。
正直、俺もシュリが何が欲しいのか分からない。
「あ、そうだ!」
涼は何か思い付いたらしい。
「なに?」
「指輪!指輪はどう!?」
「指輪、か…。」
俺達が交わした約束。
"結婚する"
今までは、その時になったら買ってやればいいと思っていた。
だけど、もしもその時が来なかったら…指輪くらい買ってやれば良かったと後悔するかもしれない。
シュリは大丈夫だ、絶対に病気は治ると信じる気持ちと、もしも死んでしまったらという気持ちが入り交じる。
「徹?大丈夫?」
涼の声で我に返った。
「ああ、大丈夫。」
「プレゼント、どうする?」
「指輪にするよ。」
今回渡す指輪は婚約指輪。
次に渡す時は結婚指輪だ。
「涼。」
「なに?」
「俺達、23になったら結婚する約束してんだ。」
何故俺は、こんな事を言っているのだろう。
涼は目に涙を溜めて言った。
「…そんな悲しそうな顔で言うなよ。」