第21章 すれ違う心
涼と駅で合流した。
「流石に7月に入ると暑いねー。」
涼の様子を見る限り、シュリが感染症を起こして無菌室に入ったことは知らないようだ。
知っていれば涼のことだ、きっと会った瞬間に泣きわめくだろう。
俺達は駅の中のカフェに入った。
「もうすぐシュリの誕生日だね!」
いきなりシュリの話題を出され、戸惑いを隠しきれなかった。
「ああ、そうだな…。」
「徹、何かあったでしょ?」
「いや、別に。」
「僕達友達でしょ!話してよ!」
ここで泣きわめかれたら…とも思ったが、俺自身、一人で背負うことに限界を感じていた。
「…泣くなよ?」
「うん、わかった。」
涼は身を乗り出して真っ直ぐ俺を見つめた。
「シュリが…感染症起こしてまた無菌室に入ったんだよ。」
「え…?」
涼の大きな瞳が揺れる。
「嘘…え、シュリ大丈夫なの?」
「とりあえず、命は助かった。」
「良かった…でも、僕も最近白血病について調べてるんだ。それで…感染症で亡くなる人も多いって見た…。」
涼は唇を噛みしめて泣くのを堪えている。
「…お前、アイス溶けるぞ。」
俺は涼が注文したバニラアイスを指さした。
「あ、うん…そうだね。」
とりあえず涼が泣くのは回避できた。
単純な奴だと思うが、こういう時は助かる。
アイスを食べる涼に、出来るだけ重くならないように話した。