第21章 すれ違う心
エミリから、シュリが感染症を起こして無菌室に入ったことを聞いた。
命は助かったと聞き、一安心した。
今は、家族も面会出来ないらしい。
仕方ないが、シュリに会いたかった。
俺は、こうなる事も覚悟していたつもりだった。
しかし、実際にシュリに死が迫ったと思うと、底無しの不安感に襲われた。
もしシュリが、いなくなったら…。
考えないようにしていたのに、嫌でも頭を巡る。
こんな時、仕事でもしていればまだ気が紛れるのに、こういう日に限って休みだ。
俺は、涼に電話をかけた。
「どうしたのー?」
呑気な涼の声に、今は少し救われた。
「いや、特に用事はねえんだけどさ。」
「そうなの?徹から連絡してくるなんて珍しいから何かあったのかと思ったよ。」
「お前、今日学校?」
「午前で終わったからもう家にいるよ。」
「ちょっと会えねえ?」
こんな風に、誰かを頼るのは初めてかもしれない。
不安で、一人でいる事に耐えられなくて…。
「ホントに珍しいねー。いいよー、どこで会う?」
「とりあえず駅に集合で。」
「わかった!今から向かうね!」
電話を切り、俺も駅へ向かった。