第20章 変わらない想い
その日の夜、激しい咳に襲われた。
全身が怠く、胸の辺りが痛む。
私はナースコールを押した。
「明智さん、どうしましたー?」
すぐに看護師さんが病室に来た。
私の様子を見ると、胸から下げているピッチで医師を呼んだ。
すぐに当直の医師がやって来た。
「熱は?」
「38.5℃です。」
「肺炎を起こしてるかもしれない。すぐに無菌室に運んで。」
その後のことは、よく覚えていない。
目を覚ますと、私は無菌室にいた。
近くにいた看護師さんが、私が目を覚ましたことに気が付いた。
「看護師さん、私…。」
「今先生呼んできますね。」
医師の説明によると、私は感染症…肺炎を起こしたようだった。
私はまたしばらく、無菌室に入ることになった。
「また明日な。」
そう言って微笑む徹の顔を思い出すと、涙が頬を伝った。
「…徹…。」
感染症は、白血病患者にとっては命取りになる時がある。
今回は助かったが、またいつ感染症を起こすか分からない。
この件をきっかけに、私は更に"死"を身近に感じるようになり、自分が死んだ後のことを考えるようになった。