第20章 変わらない想い
「シュリは助かるんだよね?」
正直、知識のあまり無い俺にとって白血病は治らないイメージが強かった。
「…5年生存率が50から60%だ。要するに、半分は助かるけど半分は助からない。」
何故彼は、こんなに淡々と話せるのだろう。
「羽山くん、何でそんなに冷静でいられるんだよ…。」
「俺が取り乱したところで何かが変わるわけじゃねえだろ。」
「それにしたって…。」
「シュリはな、その半分の確率を信じて辛い治療に耐えてるんだよ。泣き言言うなら二度とシュリに連絡するんじゃねえ。」
電話越しだが、羽山くんが怒っているのが分かった。
俺は、シュリが病気だって聞いて、心配で連絡した。
だけど現実を知ったら、受け止めることも出来ずにただ喚いているだけ。
羽山くんは、現実も理解した上で、シュリを信じて支えているのだろう。
彼女が死んでしまうかもしれないという恐怖と闘いながら…。