第20章 変わらない想い
「羽山くんは、今長野にいるんだよね?」
「お前には関係ない。」
どうやら、その辺りについては話す気が無いらしい。
「シュリにさ、伝えてくれる?」
「なんだよ?」
「またご飯作ってね、って。」
「絶対伝えねえ。」
即答で断った羽山くん。
思わず笑ってしまった。
「また会おうねって意味だよ。」
「ならそれでいいじゃねえか。なんでテメェにシュリの飯食わせなきゃいけないんだよ。」
「それは俺が食べたいから。」
「お前、まだシュリのこと…。」
「好きなんだよねー。」
電話越しで羽山くんが凄く不機嫌そうな顔をしているのが目に浮かんだ。
「でもさ、なんでわざわざ羽山くんが電話してきたの?」
「…シュリに、自分の病気の話とか生存率の話させるのは酷だろ。」
なんだか羽山くん、変わったな。
人間らしくなったというか…優しくなった。
俺の想いは変わらないけど、二人には幸せになってほしい。
心からそう思った。