第20章 変わらない想い
仕事を終え、家に帰るとスマホが鳴った。
画面を見るとシュリからの着信だった。
「シュリだ…電話できるってことは大丈夫なのかな。」
電話に出ると、相手はシュリではなかった。
「…池田か?」
この声…ある意味忘れられない人物だ。
「羽山くん?久しぶりだね。」
平静を装うが、何故シュリのスマホから羽山くんが電話をしてきたのだろう…。
シュリは今、長野にいるはずだ。
彼も長野にいるということか…?
「シュリから聞いた。七瀬達から聞いたんだろ?シュリが病気だって。」
相変わらず直球というか、無駄話はしない人だな。
「うん。シュリ、大丈夫なの?」
「シュリは…白血病なんだよ。」
予想を遥かに上回る事実だった。
医学関係の知識があまり無い俺にも分かる病気だ。
「白血病って…嘘だろ…。」
「…嘘なら、いいのにな。」
羽山くんは小さく呟いた。
羽山くんのこんなに弱々しい声を聞くのは初めてだ。
「まぁ、それでシュリは今、長野の病院で治療してる。」
羽山くんはいつもの飄々とした口調に戻った。