第19章 徹と涼
その日は1日、家でゆっくりと過ごした。
エミリや母と他愛もない話をしたり、テレビを見たり。
体力が落ちている私は、いつの間にかリビングのソファーで寝てしまった。
「…シュリ、お父さん帰って来たわよ。」
母の声で目を覚ますと、父が帰って来ていた。
父はスーツから私服に着替え、リビングのソファーに座った。
「おかえり、お父さん。」
「ただいま、シュリ。」
父は缶ビールを飲みながらテレビを見始めた。
時計を見ると、午後18時半だった。
そろそろ涼が来るかな…。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
母がインターホンで相手を確認した。
「涼君よ。」
私は玄関に向かい、ドアを開けた。
「涼、いらっしゃい。」
「お邪魔します!シュリ、今日は顔色いいね。」
涼を連れてリビングに行った。
「おじさん、こんばんは!お邪魔します!」
「おお、涼。よく来たな。」
父は普段、滅多に見せない笑顔で涼を迎えた。
父と涼と私とエミリでリビングで話している内に、母がリビングのテーブルに料理を並べた。
「今日は人数が多いからこっちで食べましょう。」
普段は4人がけの食卓用のテーブルで食事をするが、今日は6人だ。
午後19時を過ぎると、私は緊張してきた。
もうすぐ、父と徹の初対面だ。
父は徹の話は一切出さず、涼から専門学校の話を聞いたりしていた。
午後19時半、玄関のチャイムが鳴った。
「私が出る!」
インターホンで相手を確認すると予想通り、徹が立っていた。