第19章 徹と涼
翌日の午前9時。
「何かあったらすぐに病院に来て下さいね。」
新井先生にそう言われ、病院を出た。
タクシーで自宅まで向かった。
「お母さん、徹今日来れるって。19時までは仕事だって言ってたけど。」
「じゃあ仕事が終わったら来てもらいなさい?」
「うん、わかった。そう伝えとくね。」
私は徹にメールを入れた。
自宅に着くと、エミリが駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん!おかえりー!」
「ただいま、エミリ。」
嬉しそうに私に抱き付くエミリ。
うん、やっぱりエミリは天使だ。
なんて内心、シスコンを発揮していると、スマホが鳴った。
メールが2通届いていた。
1通は徹だった。
"了解。仕事が終わったらすぐに行く。行ってきます。"
どうやら今から出勤するらしい。
"行ってらっしゃい、頑張ってね!"
私はすぐにそう返信した。
そして、もう1通のメールを確認すると、涼からだった。
"おはよう。今日から外泊だよね?僕も夕飯にお呼ばれされたから行くね~。楽しみ!"
という内容だった。
「お母さん、涼も呼んだの?」
「ええ。せっかくだし。」
私の中で、徹と涼は馬が合わないイメージしかない。
そこに加えて父もいる。
大丈夫だろうか…。
父は涼のことは実の息子のように可愛がっているからそこは心配ないが…。
私はソファーに座って溜め息をついた。
「大丈夫かなぁ…。」
エミリが隣に座った。
「お父さん、一度徹さんに会ってみたいって言ってたの。私とお母さんはいい人だよって言ったんだけど、お父さんが自分の目で確かめるまでは認めない、の一点張りで。」
「それって、なんかヤバくない?」
「んー…でも、せっかくお姉ちゃんが外泊出来たのに嫌な思いさせるような感じにはしないんじゃないかなぁ?」
私とエミリの会話を聞いていた母がクスクスと笑った。
「大丈夫よ。」
妙に説得力のある一言だった。