第18章 徹の決断
抗がん剤治療を始めて6日目。
覚悟はしていたが、治療は辛いものだった。
特に、抗がん剤の副作用。
吐き気や脱毛…他にも様々な副作用に苦しめられた。
「お姉ちゃん!」
「エミリ…。」
エミリが面会に来た。
「昨日、徹さんに電話したよ。」
「ありがとう。徹元気そうだった?」
「んー…お姉ちゃんの今の状態話したら、声に元気が無くなっちゃった。」
「そっか…。」
徹は、ちゃんと大学に行っているのだろうか。
ご飯、ちゃんと食べてるかな…。
「あのね、徹さんもお姉ちゃんに会いたいって言ってた。それから…髪の毛のことも、俺は気にしないって…。」
「そっか…。」
恐らくこれから更に髪は抜けていくだろう。
無菌室から出たら、帽子を被ろう。
そうすれば少しは気持ちも違う。
「お姉ちゃん、今日も徹さんに電話する?」
「ううん。今日はいいよ。」
「わかった。」
その後エミリと少し話し、私の体力が厳しくなった為、エミリは帰って行った。
「徹に会いたい…。」
天井を見つめながら、そう呟いた。