第18章 徹の決断
「シュリさんの担当医を努めさせて頂きます、新井(アライ)です。よろしくお願いします。」
私の担当医となる新井先生は、30代後半くらいの若い先生だった。
爽やかで、話しやすそうな人で安心した。
「よろしくお願いします。」
家族全員で丁寧に頭を下げた。
新井先生の話によると、まずは感染症などの予防のため無菌室に入り抗がん剤治療で白血病細胞を減らし、それが上手く行ったら第二段階に入り、強い抗がん剤で白血病細胞を更に死滅させる…というものだった。
難しい説明に、エミリは頭が付いていっていないようだ。
私自身、若干混乱している。
先生の説明が終わると、ずっと黙っていた父が口を開いた。
「先生、娘は助かるんですよね?」
「白血病は今は不治の病ではありません。勿論助かる可能性はありますが、治療の経過によります。急性白血病の5年生存率は50~60%だと思っていて下さい。」
「…わかりました。」
説明が終わると、私はすぐに無菌室に入院し、その日から抗がん剤治療が始まった。