第18章 徹の決断
私は、生まれ育った町に帰ってきた。
駅で父とエミリが待っていた。
これから、父の運転で病院に行き、そのまま入院する流れだ。
助手席に母が乗り、後部座席に私とエミリが乗った。
「お父さん、久しぶり。」
「おかえり、シュリ。」
父は相変わらず無口だ。
「お姉ちゃん、大丈夫?大学祭の時はあんなに元気だったのに…。」
エミリが今にも泣き出しそうな顔で言った。
「大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」
本当は不安でいっぱいだったが、エミリを安心させるために笑ってみせた。
「エミリは廊下で待ってなさい。」
病院に着くと、母が言った。
これから担当医と今後の治療方針などについて話をする。
エミリにとってはショッキングな話も出るだろう。
母なりの気遣いだったが、エミリはそれを拒否した。
「嫌だ。私も一緒に話聞く。私だってお姉ちゃんの家族だもん。」
母は小さく溜め息をついた。
「わかったわ。」