• テキストサイズ

薔薇と向日葵

第17章 50%の約束


徹は私をベッドに座らせ、自分も隣に座った。

私は現実を受け入れられず、呆然としていた。

徹に、色々と伝えなければ。

「…急性骨髄性白血病、だって…。」

「そうか。治療は長野でするのか?」

「うん…すぐに入院しなきゃいけないから、明日長野に帰って、そのまま…。」

「明日か…。」

私はふと、ネットで白血病について調べた時に見た、白血病の生存率を思い出した。

「5年生存率…50%くらいってネットで見た。」

「俺も見た。」

「半分の人は助かるけど、半分の人は死んじゃうんだよね…私はどっちかな…。」

徹が、私の肩を抱き寄せた。

「お前は大丈夫だ。」

「そんなの…わかんないじゃん。」

「大丈夫だよ。」

"大丈夫"
今はその言葉を素直に受け止められなかった。

「シュリ、じゃあ、約束してくれ。」

「なに…?」

「5年後、元気になって俺と結婚するって。そのために、生きるって。」

その言葉に驚いて徹を見ると、徹は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「徹…。」

そっと、徹の頬に手を添える。

「泣かないで?」

「泣いてねぇよ。」

「徹…好きだよ。」

「俺も、お前が好きだ。」

徹は私を強く抱きしめた。

「死ぬなよ…頼むから、生きてくれ。」

徹の顔は見えないが、泣いているのがわかった。

私は徹の背中に腕を回し、徹の耳元で囁いた。

「私、頑張るから…だから、5年後に徹のお嫁さんにしてね?約束だよ?」

「ああ…約束、破るなよ。」

「うん、絶対に守る。」



それは、50%の約束だった。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp