第16章 発覚
翌日、母は約束通り朝一の新幹線で埼玉に来てくれた。
徹は今日は登校した。
私に付き合って休んでいたら、徹は本当に留年してしまう。
駅の改札から出てきた母は、最初に私を抱きしめてくれた。
「シュリっ!」
「お母さん、来てくれてありがとう。」
「あんた体は?動いて平気なの?」
「熱が少しあって怠いけど、今日は大丈夫だよ。」
「そう…すぐに病院に行きましょう。」
タクシーで、母と病院に向かった。
骨髄検査は凄く痛いものだと思っていたが、想像よりも痛くはなかった。
「検査の結果が出たらお電話します。」
医師にそう告げられ、再びタクシーに乗ってアパートに帰った。
母が私の部屋に来るのは初めてだ。
本当は、こんな形で来てほしくなかったが…。
久しぶりに、母とゆっくり話をする機会が出来た。
「エミリが大学祭に来た時は本当にびっくりしたよ!」
「あの子が自ら出かけたいなんて言ったの久しぶりだったから…シュリの所に泊まるなら安心だったし、行かせたのよ。」
本当はエミリは彼氏の家に泊まったなど、口が裂けても言えない…。
「あれからエミリどう?」
「あの子、彼氏ができて変わったわ。最初は相手の年齢を聞いて反対したけど…その人に言われたから来年から通信の高校に通うって言い出したし…反対するのはやめたわ。今は中学の勉強をしたり、一緒に買い物に行ったり…元気にやってるわよ。」
母は嬉しそうに微笑んだ。
「あなたこそどうなの?昨日の電話の男の子…羽山君だったかしら?彼、あなたの病院に付き添ったりしてくれたらしいじゃない。本当にただの友達なの?」
そう聞かれ、答えに悩んだ。