第16章 発覚
「えっと…あ、お隣さんなの!徹…あ、羽山君のことね。徹も大学に入るために上京してきて、たまたま同じ大学でね。なんだかんだ仲の良い友達…みたいな。」
お母さんは不適な笑みを浮かべて頷いた。
「お父さんにはまだ秘密にしといてあげるわ。」
私が必死に考えた言い訳は、母には通用しなかった様だ。
「でも、良い子じゃない。若いのに彼女のためにそこまでしてくれるなんて。話し方もしっかりしてたし。」
彼女…ではないのだが、そこはもう無視しよう。
「まぁ…そうなの、かな?あ、あとね、大学にもう一人仲の良い子がいてね。七瀬って言うんだけど、凄く美人で、でも気取ってなくて…とにかく凄く良い子なの。」
「そう。友達もできて彼氏もできて…楽しそうで何よりだわ。」
今日の母は、いつもより少し寛大だった。
まず、彼氏と同じアパートに住んでいるなんて知ったら、いつもなら口煩く色々言いそうなのに。
「今日はお母さんがご飯作るわ。徹君も呼んだら?その七瀬ちゃんて子も。」
「え?二人も呼ぶの?」
「シュリの彼氏とお友達、お母さんも会ってみたいし。」
「わかった…一応メールしとくね。」
私は二人にメールを送った。
すぐに二人からメールが返ってきた。
徹からは"マジか、了解。なんか買って行くものある?"
七瀬からは"ごめん、今日ちょっと外せない用事があって…シュリママに会いたかったー!!"
と、返ってきた。
「あー…七瀬は来れないって。」
「そう。残念ね。徹君は?」
「了解、何か買ってくものある?って。」
「あら、男の子にしては気が利く子ね。それなら夕飯の買い物してきてもらおうかしら。勿論後でお金は返すわよ。」
母は徹に対して結構良い印象を抱いたようだ。
「じゃあお願いしよっか。夕飯なに作るの?」
「シュリはなにか食べたい物ある?」
「んー…やっぱり肉じゃがかな!あ、あとさ、徹塩の唐揚げ好きだから作ってくれる?」
「いいわよ。じゃあ徹君に必要な物お願いしといて。」
私は徹に買って来て欲しいものをメールで送った。