• テキストサイズ

薔薇と向日葵

第16章 発覚


「なんかさー、今日血液検査の結果聞きに行ったら…。」

続きを話そうとしたが、やはり明るく話すことは出来ず、言葉に詰まってしまった。

"白血病かもしれない"

その言葉が、どうしても言えなかった。

すると、七瀬が私の隣に座り、抱きしめてくれた。

「シュリー、無理しなくていいんだよー。」

七瀬は何かを察したのか、いつもより優しい口調でそう言った。

「ご、ごめんね…なるべく明るく話したかったんだけど…っ。」

「あたし達、友達でしょ?変な気使わなくていいんだよ。」

その言葉で、我慢していた涙が溢れた。

「七瀬っ…私、白血病かもしれないって…明日、骨髄検査受けるの…っ。」

七瀬は私の頭を撫でながら、そうか、そうか…と何度も呟いた。

「シュリ、大丈夫。きっと何かの間違いだよ。」

「でも…なんか、知らない内に痣とかできてて、鼻血とか…お医者さんから白血球の数がどうとか、難しいこと言われて…っ。」

「うん…いっぱいいっぱいになっちゃったんだね。」

「もし、白血病で…治らなかったらどうしよう…っ。」

徹にも言えなかった本音。

治らなかったら…それは、死んでしまうという意味だから。

「シュリ、不安だと思うけど、そんな縁起でもないこと言うなよー。流石のあたしも泣くぞー。」

七瀬の声が震えていた。

私の頬に、温かい何かが落ちた。

それは、七瀬の涙だった。

「七瀬…。」

「例え白血病でも、負けないで…っ。シュリがいなくなっちゃうなんて嫌だよ…!」

七瀬は大粒の涙を溢しながら、強い口調でそう言った。

七瀬がこんな風に感情を表に出す姿を見たのは初めてだった。

「シュリは大丈夫、絶対に大丈夫だよ!!」

七瀬はその場に泣き崩れた。

ずっと黙って見ていた徹がいきなり立ち上がり、何も言わずに部屋から出て行った。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp