第16章 発覚
「なんかさー、今日血液検査の結果聞きに行ったら…。」
続きを話そうとしたが、やはり明るく話すことは出来ず、言葉に詰まってしまった。
"白血病かもしれない"
その言葉が、どうしても言えなかった。
すると、七瀬が私の隣に座り、抱きしめてくれた。
「シュリー、無理しなくていいんだよー。」
七瀬は何かを察したのか、いつもより優しい口調でそう言った。
「ご、ごめんね…なるべく明るく話したかったんだけど…っ。」
「あたし達、友達でしょ?変な気使わなくていいんだよ。」
その言葉で、我慢していた涙が溢れた。
「七瀬っ…私、白血病かもしれないって…明日、骨髄検査受けるの…っ。」
七瀬は私の頭を撫でながら、そうか、そうか…と何度も呟いた。
「シュリ、大丈夫。きっと何かの間違いだよ。」
「でも…なんか、知らない内に痣とかできてて、鼻血とか…お医者さんから白血球の数がどうとか、難しいこと言われて…っ。」
「うん…いっぱいいっぱいになっちゃったんだね。」
「もし、白血病で…治らなかったらどうしよう…っ。」
徹にも言えなかった本音。
治らなかったら…それは、死んでしまうという意味だから。
「シュリ、不安だと思うけど、そんな縁起でもないこと言うなよー。流石のあたしも泣くぞー。」
七瀬の声が震えていた。
私の頬に、温かい何かが落ちた。
それは、七瀬の涙だった。
「七瀬…。」
「例え白血病でも、負けないで…っ。シュリがいなくなっちゃうなんて嫌だよ…!」
七瀬は大粒の涙を溢しながら、強い口調でそう言った。
七瀬がこんな風に感情を表に出す姿を見たのは初めてだった。
「シュリは大丈夫、絶対に大丈夫だよ!!」
七瀬はその場に泣き崩れた。
ずっと黙って見ていた徹がいきなり立ち上がり、何も言わずに部屋から出て行った。