第16章 発覚
「わかりました、伝えときます。あと…今日これからシュリの友達をアパートまで連れて行きたいんで、その…。」
「徹君。君も出勤できる日に来てくれればいいよ。今はシュリちゃんの傍にいてあげなさい。」
本当に、どこまで良い人なんだろう。
シュリに伝えたら、あいつまた泣くだろうな。
「ありがとうございます、マスター。」
そう言って、俺は店を出た。
駅で七瀬と合流した。
「ねぇ、シュリどうしたの?やっぱり何か病気だったの?」
「俺から話すことじゃない。シュリから直接聞け。」
そう言うと、七瀬はそれ以上何も聞いて来なかった。
アパートに着き、シュリの部屋のチャイムを鳴らした。
玄関のドアを開けたシュリは、先程の状態が嘘の様な笑顔で俺達を迎えた。
「待ってたよ!七瀬、ごめんねわざわざ来てもらって。」
「ううん…なんだ、元気そうじゃん!」
七瀬が俺の背中を叩いた。
これからシュリが七瀬に話す内容を知っている俺は、何も言えなかった。
七瀬には、なるべく明るく話したかった。
まだ白血病だと決まった訳ではない。
余計な心配はさせたくなかった。
徹と七瀬を部屋に入れ、二人に麦茶を出した。
「もうさ、徹が凄い神妙な顔して来たから、シュリにとんでもない事が起こってるんじゃないかと思って色々考えちゃったよ!」
七瀬はいつもの調子でそう言った。
私もなるべくいつもと変わらない調子で話した。