第15章 初恋にさようなら
七瀬に泣きながら直人と別れた経緯を話した。
七瀬は優しく頷きながら聞いてくれた。
「直人さんはシュリのために身を引いたわけか…。」
「私って本当に鈍いんだなって思った。」
「まぁ、確かにシュリは恋愛に関しては鈍いね。」
「今まで恋愛なんてしてこなかったんだもん。」
「それも珍しいよね。」
七瀬が離れた席に座る徹を見た。
「で、あいつはどうするの?付き合うの?」
私はその事についても悩んでいた。
「でもさ、直人と別れてすぐに徹に移るなんて都合良すぎない?」
「別に良いんじゃない?両想いなんだし。」
「でも…徹と付き合うって想像できないんだよね。」
「え?今更?二人、付き合ってるようなもんじゃん。」
「私と徹ってそう見えてたの?」
「うん。」
そう考えると、直人には本当に申し訳ないことをしたと思う。
自己嫌悪に陥る私を見て、七瀬は笑った。
「まぁ、直人さんと別れたって知ったんだから、徹から付き合おうって言ってくるでしょ。あいつがそういう所遠慮する男だと思う?」
「それは…。」
チラリと徹を見ると、また女の子に囲まれていた。
「でも徹と私ってどう見ても釣り合わなくない?徹は見た目も良いし、あの通りモテるし…。」
「あたしは結構お似合いだと思うけど。」
そうは言われても、いくら考えても徹と今以上の関係になるなんて想像出来なかった。