第15章 初恋にさようなら
翌日、まだ微熱が続いていたが、あまり気にせずにいつも通り徹と登校した。
休み時間、七瀬に直人の話をした。
「だからね、直人引っ越すんだって。」
「そうなんだ…寂しくなるね。シュリ、大丈夫?」
七瀬が心配そうに私を見つめた。
徹もいるが、私は直人と別れた話をすることにした。
「私ね、直人と別れたの。」
「ええ!?」
七瀬は心底驚いた様子だが、徹は顔色一つ変えずにスマホをいじっていた。
「やっぱり、あの写真見たから…?」
「違う違う!二人で色々話してそうしたの。」
「そう…シュリ、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
私は徹に気付かれないように七瀬に耳打ちした。
「詳しいことは徹がいない時に話すね。」
七瀬は小さく頷き、それ以上何も言わなかった。
徹はスマホをズボンのポケットにしまうと、ニヤリと笑った。
「失恋二人組だな。」
私はすかさず徹の頭を叩いた。
「黙れチャラ男!」
「いってぇな、しかもチャラ男じゃねーし!」
「徹はシュリ一筋だもんねー?」
七瀬がからかうようにそう言った。
徹は頭を擦りながら七瀬を睨み付けた。
「失恋した女ってめんどくせーからな、今日は二人で慰め合ってろよ。シュリ、放課後カフェで待ち合わせな。」
そう言って徹は私達から離れた席に向かった。
「徹なりに気を使ってくれたみたいね。でもホント、不器用な奴…って、シュリ泣いてるの!?」
徹が去った途端に涙が溢れた。
「七瀬ぇー!」
私は七瀬に泣きついた。