第14章 兆候
シュリの部屋から自分の部屋に戻り、パソコンをいじっていると玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると池田が立っていた。
「なんだよ?」
「ちょっと話せる?」
「なんでお前と…。」
「シュリとさ、別れたんだ。」
その言葉で、閉めかけていたドアを開けた。
「お前今、なんて言った?」
池田は少し、悲しそうに笑った。
池田を部屋に入れるのは初めてだ。
と言うか、男を部屋に入れるのは初めて。
「お邪魔します。おー、綺麗にしてるんだね。俺の部屋なんかいつも汚くてシュリに呆れられちゃって…。」
「無駄話はいいから本題に入れよ。」
そう言って池田を睨み付けた。
池田は困った様に笑いながら話始めた。
「俺さ、このアパートから出てくことにしたんだ。」
「シュリから聞いた。」
「もう聞いたの?早いね。」
「で?このアパートに俺とシュリ二人になるからシュリに手出すなとかそういう話か?」
「違う違う!だから、俺とシュリ、別れたから。」
「なんで?」
「…ねぇ、煙草吸ってもいい?」
「好きにしろよ。それより、何でいきなり…。」
池田はベランダの窓を開けると、煙草をくわえて火を付けた。