第13章 大学祭2日目
「七瀬は大学卒業したら彼と結婚考えてるの?」
何の気なしにそう聞くと、七瀬は苦笑いをした。
「あー、言うタイミングがなかなか掴めなくて話してなかったんだけどさ、別れたんだよね。」
「えっ?」
「まぁよくある話よ。大学で他に好きな子ができたみたい。」
「そうなんだ…。」
七瀬が無理に笑っているのがわかった。
「七瀬、無理して笑わなくていいんだよ。」
「何言ってんのー!あたしがフラれたくらいで落ち込む女だと思う?」
前に、七瀬とカフェに行った時、七瀬が嬉しそうに彼の話をしていたのを思い出す。
きっと、凄く好きだった。
だからきっと、凄く辛いはずだ。
でも七瀬は、人前で落ち込んだり泣いたりするのが苦手なのかもしれない。
「シュリ、大丈夫。七瀬には俺がいるから。」
紫音先輩が七瀬の肩を抱き寄せた。
「は?」
みんな驚いているが、一番驚いているのは七瀬だ。
「なに言ってるんですか…!」
「もう彼氏いないんだから遠慮する必要ないよね?」
「いや、あたしもうしばらく恋愛は…。」
「そんなこと言わないでさ、とりあえず付き合ってみようよ。」
珍しく七瀬が押され気味だ。
「…考えときます。」
七瀬の答えに紫音先輩は満足気に笑った。