第2章 出会いの春
メニューを開くと、どれも美味しそうな物ばかりだった。
「な、悩む…。」
私がメニューと睨めっこしている内に、徹はさっさと決めてしまった。
「俺、ネギトロ丼。」
「それも美味しそうだよねー…私はー…カツ煮丼にする!」
「お前、結構ガッツリいくな。」
「え、ダメ?」
「いや、ダメじゃねーよ?」
徹は何故か喉を鳴らして笑った。
注文をし、食事を待っている間にお互いの話になった。
「徹はいつから一人暮らししてるの?」
「最近だよ。3月5日から。俺が通ってた高校、卒業式早かったから。卒業式の次の日に引っ越した。」
「え、徹って今年高校卒業したの!?ってことは同じ年じゃん…。」
意外だった。
雰囲気や言動から何となくだが年上だと思っていたから…。
「なんで一人暮らし始めたの?」
「大学入るから上京してきた。」
「あ、私も同じだよー。」
ん?待てよ?
この辺りで大学は1ヶ所しかない。
まさか…と思いつつ、恐る恐る聞いてみた。
「ねぇ、徹が行く大学ってもしかして…埼玉大原大学?」
「そうだけど。」
予想的中。
私と徹は、同じ大学に進学するのだ。
「ちなみに学部は…?」
「心理学部。」
学部まで一緒だった。
項垂れる私を見て、徹も気付いた様だ。
「なんだ、一緒か。」
「徹と一緒かぁー…。」
「何でそんなに嫌そうなんだよ。」
そこで、注文した食事が運ばれて来た。