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薔薇と向日葵

第13章 大学祭2日目


華道部のカフェを出ると、丁度お昼休憩の時間だった。

「徹、お腹空かないの?」

「んー、シュリは?」

「私はクッキー食べたから結構お腹いっぱい。」

「じゃあ俺も食わなくていいや。」

「そういうの良くない。何か食べなさい。」

徹は溜め息をつき、周りを見渡した。

「じゃああそこで何か買うわ。」

近くの教室で軽食を売っていた。

徹はそこで唐揚げを買った。

一つ口に入れ、微妙な顔をする。

「やっぱりシュリの作る唐揚げが一番うまい。」

「まぁ、それ多分冷凍を揚げたやつだしね。」

徹は何だかんだ言いつつも唐揚げを完食した。

「あれ?別所と七瀬?」

徹が私の後ろを見て言った。

振り向くと、紫音先輩と七瀬の姿が見えた。

「ホントだ!紫音先輩ー!七瀬ー!」

手を振ると、二人も私達に気付いた。

七瀬がこちらに向かって大きく手を振る。

二人と合流すると、七瀬の目が若干腫れていることに気付いた。

「七瀬、目が腫れてるよ?どうしたの?」

「ああ、大丈夫。目にゴミが入ってちょっと掻いちゃってさ。」

「そっか…。」

「別所になんかされたか?」

徹の言葉に紫音先輩が困ったような顔をした。

「するわけないだろ。羽山君じゃないんだから。」

「は?なんつった今。」

「はいはいケンカはやめようねー!」

二人の間に入り、強制終了させた。

「ホントに、紫音には何もされてないからね。」

七瀬の言葉に違和感を感じた。
内容云々ではなく、いつもと何かが違う。

七瀬と紫音先輩の少し後ろを歩きながら徹に聞いてみた。

「ねぇ、さっき七瀬が喋った時、なんか違和感を感じたんだけど…。」

「呼び方が変わってたな。今までずっと別所先輩って呼んでたのに、紫音に変わってた。」

「それだ!」

私の声で七瀬が振り返った。

「どうしたのシュリ、大きな声出して…。」

「いや、なんでもないよ。気にしないで。」

「そう?」

七瀬は不思議そうに首を傾げた。

「あいつら二人で行動してる間に何かあったな。」

徹がいつになく楽しそうに笑った。

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