第13章 大学祭2日目
「涙の理由、聞いた方がいいのかな?」
「聞かなくていいですよ。どうせだいたい予想はついてるんでしょう?」
「うん。昔から無駄に勘が良くてね。」
「…あたしと真逆の女の子連れて来たんです。小さくて、可愛くて、守ってあげたくなるような。」
「へぇ。新しい女を連れてくるなんて、なかなか最低な男だね。」
「別所先輩って綺麗な顔して結構毒舌なんですね。徹みたい。」
「羽山君と一緒にはされたくないなぁ。」
そう言って別所先輩は胡散臭く笑った。
「ていうか何でさっきいきなり七瀬って呼んだんですか。」
「一度呼んでみたかったから。」
「そうですか。」
「君さ、彼の前で泣かなかった…いや、泣けなかったでしょ?」
何処まで勘の良い人なんだろう。
「それ以上言い当てないで下さい。あと、さっきあたしが泣いたことはシュリと徹には言わないで下さい。」
「わかった。じゃあその代わり、俺の言うこと一つ聞いて。」
「なんですか?」
「これからは紫音って呼んでよ。」
その笑った顔があまりにも綺麗で。
でも、どこか違和感があった。