第12章 大学祭1日目
エミリは写真と徹を交互に見た後、私を見た。
「お姉ちゃんの彼氏?」
「違うよ!」
「お姉ちゃん顔赤いよー?隠さなくてもいいのに。お父さんとお母さんには内緒にしとくよ?」
「本当に違うの!」
焦る私をエミリは不思議そうに見つめた。
「でも、この写真の二人、お互いのこと好きなのがすっごく伝わってくるけど…。」
エミリは昔から、思ってることを何でも口に出してしまう性格だ。
エミリは徹を見た。
「お兄さんはお姉ちゃんのことどう思ってるの?」
「好きだよ。」
徹は何の躊躇いもなく言ってのけた。
七瀬や先輩達が苦笑いをした。
これ以上この話題が続くのは気まず過ぎる。
「エミリ、今日はどこかに泊まるの?」
「彼氏の家に泊まるー。あ、お父さんとお母さんにはお姉ちゃんの家に泊まるって言ってあるからそういうことにしといてね。まだ流石に彼氏の家にお泊まりは許してくれないと思うから
そう言って来たから。」
「わかった。でもエミリ、その彼に伝えといて。くれぐれも健全なお付き合いをって…。」
「お姉ちゃん、私もう16になるんだよ?」
「まだ16、でしょ!」
「仕方ねーよエミリ。お前の姉ちゃんは色恋に疎いから…。」
「黙れ徹!」
私は思いきり徹の頭を叩いた。
七瀬がついに堪えきれなくなったのか、吹き出した。
「エミリ、ポストカード買っていかない?」
「うん、買うー。彼氏が写真好きなんだよねー。」
「エミリちゃん、ぜひ私のドールを見て頂戴。」
桐生先輩がドールのポストカードをエミリに見せた。
「あ、ドールだー。私もドール好きなんです。」
「あら、そうなの?」
「エミリちゃん、良かったらこっちのも見てくれないかい?」
相田先輩が田中先輩と撮った写真を見せた。
「わー、こっちも綺麗…。」
エミリがポストカードを選んでる間、七瀬が話しかけてきた。
「素直ないい子ね。」
「うん…昔色々あったんだけど、立ち直ってくれて本当に良かった。」
「色恋に関してはお前より上だな。」
徹が口を挟んできた。
「うるさいなぁ。ていうか、先輩達の前で堂々と好きとか言わないでよ。」
「みんな何となく察してたから大丈夫だよ。」
紫音先輩がニコニコと笑いながら会話に入ってきた。