第12章 大学祭1日目
飲み物を買って戻ると、何となく場の空気がおかしかった。
「何かありましたか?」
「何もないよ。飲み物ありがとね。」
七瀬が私の手からペットボトルを1本取った。
他の先輩達もお礼を言いながら私と徹から飲み物を取っていった。
どうやら私の気にし過ぎだったようだ。
「そろそろお昼休憩だねー。みんなでご飯食べようよー。」
小山先輩がのんびりとした口調でそう言った。
みんな小山先輩の提案に賛成した。
小山先輩が用意してくれていた大きなビニールシートを広げ、みんなで輪になって座った。
それぞれお弁当を持参して来たが、予想通り、徹は菓子パン1つ。
「やっぱり…。」
「なんだよ?」
「どうせ菓子パン1つだと思ったからほら、塩の唐揚げ作ってきたよ。」
「おー、サンキュ。ついでに玉子焼きもくれ。」
「玉子焼きは私の!」
そんな私と徹のやり取りを、先輩達がじっと見ていることに気付いた。
「あ…良かったら先輩達も食べますか?沢山作ってきたので…。」
一瞬の沈黙。
「ありがとう!ぜひ頂くよ!」
相田先輩が勢い良く箸を伸ばしてきたことで、その沈黙は破れた。
何だろう…何かが変な気がした。
「相田先輩、さっきはすみませんでした。」
徹の言葉に相田先輩も申し訳なさそうに笑った。
「いや、俺も悪かったよ。」
そんな二人を見て一安心した。