第2章 出会いの春
「君、可愛いねー。一緒にいたの彼氏?」
金髪の坊主頭の人がニヤニヤと笑いながら言った。
少し危険な予感がする。
「違います…。」
もう一人の赤髪の男が、徹の座っていた席に腰かけた。
「なら俺達と遊ぼうよ。」
力強く肩を抱き寄せられ、恐怖と嫌悪感を抱く。
「あの…やめて下さい…。」
「声震えてるよ、可愛いー。」
男達は私の反応を見て楽しんでいる。
何が客層もそんなに悪くないから、よ。
…徹の嘘つき。
「ねぇ、連れになんか用?」
そこで、徹がトイレから戻ってきた。
酷く不機嫌な顔をしている。
男達は徹を囲むように立った。
「兄ちゃんはもう十分あの子と遊んだだろ?」
「俺達に借してよ、あの子。」
徹はめんどくさそうに舌打ちをした。
その態度に、男達が激怒した。
男の一人が徹の胸ぐらを掴み、睨み付ける。
「ガキがナメた態度取ってんじゃねーぞ。」
「…うるせぇな。」
次の瞬間、徹が男の腹に蹴りを入れた。
男は派手に転び、それを見たもう一人の男が徹に殴りかかった。
しかし徹はそれを余裕でかわし、男の鳩尾に拳を入れた。
男達が倒れている間に、徹は私の手を引いて店の出口に向かった。
去り際に、受付にお金を置いて。
恐らく飲み物代だろう。
店から出ると、徹は私の頬を両手でつねって横に伸ばした。
「いひゃい…。」
「なに絡まれてんだよ。」
「ごめんなひゃい…。」
「…なんもされてねーか?」
私は大きく首を縦に振った。
すると、徹は小さく溜め息をついて手を離した。