• テキストサイズ

薔薇と向日葵

第2章 出会いの春


「やっぱりマイダーツじゃないと投げづらいな…。」

何やら一人言を言いながら徹がテーブルに戻ってきた。

「ほら、次シュリの番。」

「ええっ、私もやるの?」

「当たり前じゃん。」

「ど、どうすればいいの…?」

「的に向かって投げるだけだよ。俺の見てただろ?」

徹にダーツを渡され、見よう見まねで投げてみる。

しかし、全然的に当たらない。
そもそも的まで届かない。

すると、後ろから徹が私の手を握ってきた。

「もっとこう、真っ直ぐ投げるんだよ。」

体が密着した状態で指導される。

徹の事は何とも思ってないが、異性とこんなに密着するのは初めてで鼓動が早くなる。

徹に手伝ってもらって、初めて的に当たった。

「やったぁ!当たった!」

嬉しくて思わず振り返ると、徹が微かに笑った。

「徹、笑うんだね。」

「なんだよそれ。俺はロボットか。」

「いや、そうじゃなくて…とにかく、笑ってる方がいいよ。」

徹は私から目を反らし、何も言わずに投げ始めた。

しばらくの間交互に投げて、少し休憩することにした。

二人並んでイスに座り、飲み物を飲む。

「俺、ちょっとトイレ行ってくるわ。」

そう言って徹は席を立った。

徹が居なくなった途端に心細くなった。

早く戻って来ないかな…。

スマホを取り出して弄っていると、隣で遊んでいた二人組が声をかけてきた。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp