第12章 大学祭1日目
徹と紫音先輩の見事な連携プレー…と呼んでいいのか分からないが、二人のお陰で沢山の女の子がポストカードを購入してくれた。
勿論中には純粋に写真が好きで来てくれる人もいた。
ふと、校門の方に視線を送ると、見るからに柄の悪そうな二人組の男性が近付いて来た。
「写真部ねぇ…この美人なお姉ちゃんのポストカードはねーの?」
男性の一人がなめ回す様に七瀬を見て言った。
「無いですね。」
七瀬が満面の笑みでそう返すと、もう一人の男性が私の手を掴んだ。
「オレはこっちの子がいいなぁ。ねぇ、こんな地味な部活やってないでオレ達と遊ぼうよ。」
「やめて下さ…。」
私が言い返すよりも先に、徹が男の手首を掴んだ。
「いってぇな!」
相当な力を込めて掴んだのか、男性は私の手を離した。
徹は男性の手首を掴んだまま低い声で言った。
「カード買わねぇなら散れ。」
力で勝てないと悟ったのか、二人は悪態をつきながら去って行った。
「羽山、いくらなんでもあれじゃ写真部のイメージが悪くなるだろ!」
「うるせぇな。じゃああんたが穏便にあいつら追い払えたのかよ。」
「それは…っ。」
相田先輩と徹の間にピリピリとした空気が流れる。
見兼ねた私は徹の手を取った。
「私達、何か飲み物買ってきます。」
徹の手を引いてその場を去った。
「徹、後で相田先輩に謝りなさいよ。」
「嫌だ。」
「助けてくれたのには感謝してるけど、相田先輩が言ってることは正しいよ。それに先輩に対してあの口のきき方は無いと思う。」
徹は舌打ちをした。
「…わかったよ。謝ればいいんだろ。」
「わかったならよろしい。」
私達は飲み物を売ってる場所を探した。