第12章 大学祭1日目
徹がトイレから戻ってきた。
「あれ?七瀬は?」
「なんか、いきなり紫音先輩連れて部室から出て行った。」
「七瀬が別所を?珍しいな。」
徹とそんな話をしながら作業をしていると、七瀬が戻ってきた。
「あれ?七瀬、紫音先輩は?」
「さぁ?後から来るんじゃない?」
珍しく、七瀬が不機嫌だ。
「何かされたか?」
「あんなチビにされるわけないじゃない。」
明らかに苛立っている七瀬に、徹も私もそれ以上何も聞かなかった。
しばらくして、紫音先輩が部室に戻ってきたが七瀬は見向きもしなかった。
今日の活動が終わり、七瀬は彼氏と会う約束をしていると言って先に帰った。
アパートまでの帰り道。
徹と二人で七瀬の話をしていた。
「七瀬、どうしたんだろう。」
「あいつらしくなかったな。」
「紫音先輩が七瀬に何かすると思えないし…。」
「それはどうかな。別所は何考えてるか分からねぇ所あるし。」
「まぁ…確かに。」
そんなことを話しているうちに、アパートに着いた。
「じゃあ徹、また明日ね。」
「おー、また明日な。」
私達はそれぞれ部屋に戻った。