第12章 大学祭1日目
休み明けの月曜日。
いよいよ本格的に学校は大学祭ムードに突入してきた。
放課後、部室に行くと桐生先輩が駆け寄ってきた。
「見てみて、これ!」
桐生先輩が見せたのは、私と徹の写真で作ったポストカードだった。
「えっ?これもポストカードにしたんですか?」
「だってこの二人、凄く絵になってるんだもの。」
「誰も買わないと思いますけど…。」
「そうかしら?まぁ一応ね、作ってみたから!」
桐生先輩はご機嫌な様子で活動を再開した。
「あんなの買われたら最悪だ…。」
落胆する徹。
私も同じ気持ちだ。
「みんなー、聞いてー!」
相田先輩の声が部室に響き渡った。
「大学祭が終わったら、親睦会も兼ねた打ち上げをやろうと思うんだけどみんな大学祭の2日目、日曜日の夜って空いてる?空いてる人は手を上げてー。」
偶然にも全員が手を上げ、相田先輩は嬉しそうな顔をした。
「お、じゃあみんな参加でいいかな?」
それぞれ返事をする。
「場所はいつもの居酒屋にしようと思うんだけど…。」
「じゃあ大学祭の片付けが終わったらみんなで移動、ですよね武先輩?」
「流石志乃!その通り!ってことでみんないいかな?参加費はお酒飲む人は3000円、飲まない人は2000円ね。当日集金します!」
またそれぞれ返事をし、この話は終わった。
七瀬とボードに写真を貼りながら、直人と仲直りした話をした。
徹は今、トイレに行っているため不在だ。
流石に徹の前でこの話は出来ない。
「とりあえず良かったじゃん。」
「うん。ただ、なんかその日の直人はいつもと様子が違う気がしたんだよねー。どこにも行くなよ、なんて言うし。」
「直人さんも不安なんじゃないの?徹がシュリのこと好きなの知ってるんだし。」
「そうなのかなぁ…。私が好きなのは直人なんだけどな。」
「本当にそうなのかな?」
背後から突然、紫音先輩が現れた。
この人はいつも神出鬼没と言うか…海外で気配を消す訓練でも受けたのだろうか。
「紫音先輩、驚かさないで下さいよー。」
「ああ、ごめんね。それでさ、本当にシュリは直人さんが好きなの?」
「どういう意味ですか?」
「本当は…。」
紫音先輩の言葉を遮るように、七瀬が立ち上がった。