第12章 大学祭1日目
「被写体?シュリ、被写体になったの?」
「えっと…うん。流れでね。」
「へぇ、どんな写真になったの?」
「先輩が決めたテーマがオペラ座の怪人だったから、それに出てくるヒロインの格好して…。」
「オペラ座の怪人かー、タイトルは聞いたことあるけど内容は分からないや。」
「まぁ、恥ずかしいからこの話はいいよ!」
徹と見つめ合ったり抱きしめられたりしながら撮影したなんて、口が裂けても言えない。
頭の中で必死に別の話題を考えていると、直人が口を開いた。
「シュリ、俺前から思ってたんだけどさ…。」
「なに?」
「シュリって、羽山くんのことになると凄く一生懸命になるよね。」
「え…?まぁ、うん。友達だからね。」
「本当に、それだけ?」
直人の言葉の意味が解らず、首を傾げる。
「それだけって、どういう意味?」
「…ううん。なんでもない。」
そこで丁度、注文した料理が運ばれてきた。
「わー、おいしそう!」
「シュリ、デザートも食べなよ。」
「そんなに食べれるかなぁ。直人のオムライスもおいしそうだね!」
「一口食べる?」
「うん!」
直人がスプーンにオムライスをのせて口まで運んでくれた。
「おいしい!」
「良かったね。」
その後は、和やかな雰囲気のまま食事を終え、私達はアパートに戻った。