第12章 大学祭1日目
「それじゃあ徹、また月曜日にね。」
「ん、じゃあな。」
アパートに帰った私達は、それぞれ部屋に戻った。
今日は金曜日。
大学祭は来週の土曜日と日曜日の2日間だ。
まさか自分も被写体になるとは思わなかったが、今日の撮影は楽しかった。
不覚にも、徹がかっこよく見えて終始ドキドキしていたことは秘密だ。
冷蔵庫の中身を見ながら今日の夕飯を考えていると、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい、どちら様ですかー?」
「シュリ、俺。直人だよー。」
そう言えば、あの言い合い以来直人とろくに話していない。
そろそろ仲直りしなければ…。
玄関のドアを開けると、私服姿の直人が立っていた。
いつもの穏やかな笑みを浮かべて。
「直人…。」
「シュリ、これから夕飯食べに行かない?」
意外な誘いだったが、これは仲直りするチャンスかもしれない。
「うん、行く!」
直人の車で、私達は少し離れた洋食のレストランに向かった。
そのレストランは、店内は暖色のライトで照らされた、静かで雰囲気の良いお店だった。
「シュリ、好きなの食べてね。いつもご飯ご馳走になってるから、今日は俺がご馳走するから。」
「いいの?ありがとう。何にしようかなー。」
メニューを見ていると、視線を感じて顔を上げた。
直人が優しい瞳で私を見つめている。
「羽山くんと仲直りできた?」
「あ…うん。」
「そっか、良かったね。」
直人はニッコリと笑った。
「あの、直人…この前はごめんね。直人の気持ちも考えないで…。」
「いいんだよ。俺も大人気ないこと言ってごめんね。ほら、なに食べる?俺はオムライスにしようかなー。」
直人が無理に話題を変えた気がしたけど、気にしないようにした。
「じゃあ私はタラコのパスタにしようかな。」
「飲み物は?」
「アイスティーにする。」
「わかった。」
直人は店員さんを呼んで注文をしてくれた。
「もうすぐ大学祭だよね?シュリは写真部だっけ?何するの?」
「えっとね、みんながそれぞれ撮った写真を展示したり、ポストカードにして販売したりするよ。」
「へぇ、シュリが撮った写真のポストカード欲しいな。」
「あ、私は被写体に…。」
そこで私は口をつぐんだ。