第11章 本当の気持ち
「あのさぁ、そろそろ我慢するのやめたら?」
七瀬にそう言われ、全身の力が抜けた。
そして一気に顔が熱くなる。
「…あれは反則だろ。」
「可愛かったもんねー、シュリ。」
どうやら七瀬には全てお見通しのようだ。
シュリが着替えを終えて準備室から出てきた時、あまりの可愛さに腰が抜けそうになった。
撮影中もずっと、シュリに悟られないようにポーカーフェイスを気取っていたが、終始心臓は煩かった。
苦手なはずの真っ赤な口紅を塗った唇も、シュリだと全然嫌ではなかった。
「なぁ、七瀬。」
「ん?」
「俺もう限界かも。」
「何が?」
「どうやったらあいつ、俺のモノになるの?」
その言葉に、七瀬は何も答えなかった。