第11章 本当の気持ち
「それじゃあ羽山君、明智さんの手を取って、愛しそうに見つめてね。」
みんなが注目する中、徹は私の手を取って見つめてきた。
「明智さんは、少し戸惑った表情で羽山君を見つめて。」
徹があまりにも真剣に見つめてくるから、その瞳に吸い込まれそうになった。
何枚かシャッターが切られ、次の指示が出される。
「羽山君、明智さんを後ろから抱きしめて。明智さんは少し俯いて羽山君が回した手に自分の手を添えて。」
その後も桐生先輩の指示に従い、何十枚もの写真を撮った。
撮影中、私の心臓はずっと煩かった。
「お疲れ様。凄くいい写真が撮れたわ。」
桐生先輩は満足気に笑った。
「二人、凄く良い雰囲気だったけど付き合ってるの?」
桐生先輩の言葉に私は思いきり首を横に振った。
「まさか!付き合ってないですよ!」
「あら、そう。」
そう言って桐生先輩はカメラを片付け始めた。
ずっと撮影を見ていた七瀬が声をかけてきた。
「二人とも良かったよー。お疲れ様。」
「ありがとう。」
「明智さーん、先に着替えちゃおうか!」
小山先輩が準備室の前からこちらに手招きをしていた。
「はーい!じゃあ先に着替えてくるね。」
「行ってらっしゃい。」
七瀬がニッコリと笑って手を振った。