第11章 本当の気持ち
徹は髪をオールバックにし、顔の右半分に仮面を付け、黒い服とマントを羽織って出てきた。
正直、凄く似合っている。
多分、他のみんなも同じ気持ちなのだろう。
「似合ってるよ羽山!あまりにも格好いいから呆気に取られちゃったよ!」
その静寂を破ったのは相田先輩だった。
「そりゃどーも。」
「す、凄い素敵!!」
桐生先輩が興奮気味にカメラを構えた。
「二人ともドールみたいだわ!素敵!最高!早く写真を撮りましょう!?ね!?」
「あー、桐生の美しいものに対する興奮スイッチが入ったみたいだね。」
田中先輩が淡々と言った。
確かに、桐生先輩は怖いくらい興奮している。
「別所先輩本当に女の子みたいだわー。」
感心する七瀬に紫音先輩が言った。
「でも今思ったけど、この役は石川さんでも良かったかもね。」
「いや、あたしは遠慮しときます。」
私はと言うと、徹のあまりの変貌ぶりに思わず見とれてしまった。
実は私は、中学生の頃にオペラ座の怪人のミュージカルを見てからファントムが大好きなのだ。
「なんだよシュリ。そんなに見るなよ。」
「あ、ごめんっ…徹、似合ってるよ。」
「そうか?」
「うん、格好いい!」
徹は照れくさそうに顔を反らした。
桐生先輩が指揮をとり、撮影が始まった。