第11章 本当の気持ち
放課後、部室に行くと相田先輩が笑顔で駆け寄ってきた。
「羽山!久しぶりだな!」
他の先輩達も駆け寄ってきた。
「この忙しい時期に2週間も休むなんていい根性してますね。」
田中先輩は嫌味っぽくそう言ったが、嬉しそうに微笑んでいた。
「心配したよー、羽山君。」
小山先輩が徹に抱きついた。
それを見て、相田先輩が複雑そうな顔をしたのを私は見逃さなかった。
「ま、正直このまま辞めると思ってたから来て良かったわ。部員が少なくて廃部寸前なんだから、一人一人が大切なこと忘れないでよね。」
桐生先輩はドールの頭を撫でながらサラリと良いことを言った。
窓際の席から、紫音先輩がこちらを見ている。
2週間、無断欠席した徹を誰も責めなかった。
「被写体…ちゃんとやりますから。すみませんでした。」
流石に徹も申し訳なく思ったのか、素直に謝った。
「え、被写体になってくれるの!?」
相田先輩が嬉しそうに言った。
確か紫音先輩は、相田先輩からの指令だと言っていたが…。
「え、相田先輩からの指令だって別所が…。」
徹は何かに気付いたように、窓際の席にいる紫音先輩を睨み付けた。
「別所、お前ハメたな…っ。」
「なんのこと?」
紫音先輩はわざとらしく首を傾げた。
徹は前言撤回しようとしたが、すでに先輩達は大盛り上がりしている。
今更、被写体を断れる雰囲気ではない。
徹は悔しそうに歯を食い縛った。
それを見た七瀬が大爆笑したのは言うまでもない。