第11章 本当の気持ち
しばらくそうしていた。
漸く涙が止まり、それを見ると徹は私から離れた。
「シュリ、ごめんな。」
「なにが?」
「お前と出逢わなきゃ良かったなんて言って。」
「ううん。あの日、それを言うために探してくれたんでしょ?なのに私こそ突き放すようなこと言ってごめんね。」
「お前は悪くないよ…池田も。池田に対しては俺の単なる逆恨みだからな。」
徹は立ち上がると、玄関に向かった。
「帰るの?」
「話は済んだしな。明日からはちゃんと大学にも行くから心配すんな。」
話は解決したはずなのに、何故か少し寂しかった。
私も玄関に行き、徹の手を握った。
「徹、話してくれてありがとう。また明日ね?」
「ん、また明日な。」
徹は微かに笑い、私の頭を撫でた。