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薔薇と向日葵

第11章 本当の気持ち


食事が終わり、洗い物を済ませて徹の正面に座った。

徹はスマホをいじっている。
どうやら自分から話を切り出す気はないらしい。

「…徹さん。」

「なに?」

「話をしましょうか。」

徹はスマホをテーブルの上に置いて、私を見つめた。

「何から話すの?」

「えっと…上手く言えないんだけど、私達、なんか色々誤解があると思うんだよね。」

徹は腕を組むと、目を瞑った。
何か考えているようだ。

そして、意を決したように目を開いて話始めた。

「ある所に、年の離れた夫婦がいました。」

「はい?」

何故か昔話風に語りだした徹。

「ふざけてるの?」

「いや、至って真面目だしこれノンフィクションな。」

「誰の話なのそれ。」

「羽山徹の話。」

そこで私は漸く察した。
徹は今から、自分の…恐らく過去の話をしようとしているのだ。

「ま、お前にとっては色々ショッキングな部分もあるかもしれないけど聞いてよ。」

そして徹は話始めた。

徹の母親は、徹の父親の財産目的で結婚したこと。

まだ幼い徹に「嫌い。」と言い続けたこと。

浮気をしていたこと、借金をしていたこと。

それを全て知りながらも妻を愛し続けた父親のこと。

そんな父親と同じになりたくなくて、好きでもない女性を口説き、抱いてきたこと。

15歳の時、母親が浮気相手の男性と蒸発したこと。

それでも妻を許した父親に対しての嫌悪感。

「ま、ここまではいいとして。」

「いいの!?全然良くないけど…。」

「俺的には問題無かったんだよ。お前と出会うまでは。」

「わ、私と出会って問題が起きたの…?」

その時、徹が失踪する前に言った言葉を思い出した。
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