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薔薇と向日葵

第11章 本当の気持ち


アパートに帰り、二人で私の部屋に入った。

相変わらずマイペースな徹は、私のベッドに横になった。

「眠い…飯出来たら起こして。」

「はいはい。」

私は早速料理に取りかかった。

唐揚げを揚げている間に味噌汁を作り、唐揚げに添えるキャベツを切る。

30分程で作り終わり、料理をテーブルに並べて徹を起こした。

「徹、ご飯できたよー。起きてー。」

徹は体を起こすと大きな欠伸をしてベッドから出た。

テーブルに並んだ料理を見て、目を輝かせた。

「久しぶりにまともな飯だ…。」

「あんた失踪してた間どんな暮らししてたのよ。」

「女の所を転々と…。」

「その年でその女性関係のだらしなさ…将来が心配だわ。」

徹は私の言葉を右から左へ受け流し、食事を始めた。

相変わらず、食事中は静かだ。

「シュリ、おかわり。」

徹が空いた茶碗を差し出してきた。

「そんなに食べて大丈夫?後で胃が痛いとか言わないでよ?」

「大丈夫。」

「なら良いけど…。」

沢山食べてもらえるのは嬉しいことだ。

茶碗にご飯をよそっていると、ふと、思い出した。

「あああー!!」

「な、なんだよいきなり…。」

「バイト…バイトのことすっかり忘れてた…。」

「あ…。」

どうやら徹も忘れていたらしい。

面接を受けてから2週間以上経つ。
今更行っても遅いだろう。

「ああ…もう。バカだ…私のバカ…。」

「とりあえず明日二人で謝りに行こうぜ。」

「そうだね…。」

徹に茶碗を渡しながら、私は大きな溜め息をついた。
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